決定版「オンラインイベント」の魅力と運営成功のカギ、Peatix共同創業者が徹底解説

2020/07/20
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新型コロナウイルスの影響で、家で過ごす時間が多くなり、この機会に勉強会やワークショップなど「オンラインの学びの場」を活用し始める人たちが増えています。

リモートワークで通勤や移動の手間がなくなって、せっかく増えた自由時間、これを有効活用しない手はないと考える人が多い中、主催者側も多種多様なオンラインイベントを用意。家にいながら参加できるこうしたイベントは、その気軽さや即時的なインタラクティブ性から、これまでにない盛り上がりを見せています。

イベント・コミュニティ管理サービスを提供するPeatix(ピーティックス)の共同創業者で取締役CMO(最高マーケティング責任者)の藤田祐司さんは、これまでリアル・オンラインの両方で多数のイベントを支援、また自らも運営してきたエキスパート。

これからオンラインイベントに参加したい人や、こうしたイベントを運営したいと考えている人たちに向けて、「オンラインの学びの場」の魅力と、そのメリットを最大限に活用するための具体的なノウハウを余すところなく伺いました。

コロナ危機で急速に盛り上がった「オンラインイベント」

リアルイベントの運営は今年の2月くらいまで堅調でしたが、2月中旬から新型コロナウイルスの影響が出始め、2月26日に政府が大型イベントについて自粛要請を出した後は、ビジネス関連のイベントの延期・中止が増えていきました。通常、PeatixのWebサイトでは1カ月に約1万件のイベントが掲載されるのですが、3月はそれが半分に減りました。

一方で、3月なかばぐらいからオンラインのイベントが急速に増えています。今まではオンラインイベントの割合が2%で、あとの98%は「リアルイベント」だったのですが、4月の非常事態宣言後にオンラインイベントは80%ぐらいになって、5月なかばにはそれが95%にも達し、6月末時点でも80〜85%を推移していました。

リアルイベントは場所の制限があるので、どんなに魅力的でも人数の限界がありましたが、オンラインイベントだとその制限がないのが魅力の一つです。1イベントあたりの集客数が通常だったら100人だったところが1000人になったりして、今までにない規模のイベントが生まれています。

参加者にとっても場所の制約がなくなって、オンラインイベントの際に「今どこから見ていますか?」と問いかけると、東京の割合が2割とか。オーディエンスがばらけ始めていますね。国境を越えてベトナムやアメリカから参加している人もいます。イベントを主催する側としては、より多くの人にイベントを届けられる可能性が増えてきているのが面白いところですね。

オンラインイベントに参加する側のメリットは、とにかくイベントが開催される時間の枠が増えたこと。今までは、お昼に「会社として行ってこい」みたいな真面目なものがあって、通常のトークイベントみたいなものは18時半~19時の開始が多かったけれど、今はこれ以外にも16時からとか21時~22時開始とか、いろんな時間に配信されています。

これまで、夜遅い時間には学びのイベントはあまり開催されていませんでしたが、今では遅い時間帯にも行われている。家にいて、移動距離や移動時間ゼロで、時間を気にせずパッと参加できるメリットがあります。夜に2~3つのイベントをはしごする、なんていうのも可能ですよね。見逃しても、後からアーカイブを見ることもできます。

学び系から雑談系、オンライン落語も? バラエティー豊富

具体的なオンラインイベントの例を挙げると、マーケティングセミナーやPR関連の面白いセッションなどの「学び系」、特にビジネス・経営関連のトークイベントみたいなものが多いですね。ゲストが豪華なのもよく見かけます。人気があったのはPR Table社主催の「【有識者会議】Withコロナ時代のPRについて話そう- PR Table Community #25」やANA社主催の「『旅と学びの協議会』キックオフイベント」など。

娯楽的なところでは「オンライン落語」もすごく人気です。オンラインでもチケットの枚数制限があって、割とすぐ売り切れるんですよ。家でストレスが溜まっている人など、オンライン落語で息抜きしているのかもしれませんね。あとは教育関連。週末に「Zoom」を使って、塾みたいな形で歴史を学んだりするものです。

オンライン落語
オンライン落語

インタラクティブなイベントだと、「ワークショップ系」もみなさんいろんなツールを使って工夫しています。Zoomだと「ブレイクアウトルーム」という大人数の参加者を少人数のグループに分ける機能があったりするので、それで複数のグループに分けてワークショップをやったりだとか。例としては、Adobe社の「『Stay Home x デザイン』今わたしたちにできる一番の社会貢献 【Design Jimoto オンライン ワークアウトvol.2】」やHOMELL社の「オンラインおやこワークショップ ホーメル」などが盛況でした。

実際に手を動かすところでは、「アイデアソン」というビジネスアイデアを考える企画をオンライン上でやるところも出てきています。コロナ後の未来の教育ビジネスをテーマにしたアイデアソンでは、大学が教育のあり方や教育ビジネスを考えるオンライン講演とワークショップを開催していました。

学ぶ目的ではなく、単に雑談、飲み会的なイベントもあります。オープンなものというよりはセミオープンなもので、「Facebook」上でインフルエンサーがカジュアルに人を招待している場合などがあります。

オンラインスナック
オンラインスナック

今すごく増えているのは、「オンラインスナック」です。スナックって基本社交の場で、ママさんがお客さん同士をつないでいくのがそもそものお店のあり方だったりしますが、オンライン上でも、進行役(ママさん)がみんなの出会いを創出していくようなイベントです。あとはホスト役の人が一方的に喋り続けているのを見ながら飲むという形もありますね。

あとは「音声系」のイベント。「Dabel」というサービスがあって、ラジオみたいな感じで視聴者をソーシャルメディアで集めて、主催者は視聴者をピックアップしてしゃべる場所に簡単に引き上げることができるんです。だからリスナーだったのに突然会話に巻き込まれて壇上に上がるみたいなことが起きる。こういうサービスは、オンラインカンファレンスの懇親会に使われていたりもします。インタラクティブに絡めるツールはみなさん欲しているし、研究して使ってる印象がありますね。

オンラインイベントは、手前味噌ですが「Peatix」のようなキュレーションサイトで探すと見つかりやすいかなと思います。Peatixだけでも常時4000~5000のオンラインイベントが載っています。「オンラインイベント」だけを検索できる機能もありますし、カテゴリーを入れて属性を絞り込むと、候補が出てきます。アプリもあって、トップページの特集ではいろんなジャンルのイベントが紹介されているので、そこから探すのもいいかと。

Peatixのイベントカレンダー
Peatixのイベントカレンダー

それ以外には、気になる人のツイッターをフォローしておくのも有効です。大体登壇者は情報を発信するので、そうしたソーシャルメディアの情報を集めるのもいいと思います。

オンラインイベント運営の秘訣は「ツールの使い分け」

オンラインイベントの運営側へのアドバイスとしては、ツールの選び方、集客の仕方、企画の考え方、運営する上で気をつけること、などを相談会でシェアしています。

中でもよく聞かれるのは、ツールの使い分け。「Facebookライブ」「YouTubeライブ」「Twitterライブ(Periscope)」「Zoom」といった王道ツールの中で、どれを使うべきなのか、主催者の方は悩まれますが、選別に当たってはまず、どういった趣旨のイベントなのかを考えるのがポイントになります。

例えば、閉じられたイベントで限定された人だけに見てほしいのであれば、Zoomを使って開催する。閉じられた空間でインタラクティブにしたいのであれば、その「ミーティング」機能を使い、閉じられているけど「1対n」でトークしているのをみんなで見る形にしたいのならば、「ウェビナー」機能を使うのがいいと思います。

Zoomのウェビナー機能
Zoomのウェビナー機能

無料イベントでより多くの人に届けたいというのであれば、Facebookライブ、Twitterライブ(Periscope)、YouTubeライブに流していくと、より多くの人に届くでしょう。ZoomからFacebookやYouTubeに配信するやり方もあります。

Facebookライブ
Facebookライブ

もう一つ、僕たちも活用しているのが、「StreamYard(ストリームヤード)」というサービスです。通常FacebookライブでやるとFacebookの1チャンネルしか発信できないんですが、StreamYardの有料版だと同時に複数チャンネルに配信できます。すごく高価なツールではないし、企業の配信担当者にオススメです。主催者が各チャンネル(Facebook、Twitter、YouTubeなど)のコメント欄を一元管理したり、コメントをピックアップして画面上に出したりもできます。よりテレビ的に番組を作ることが可能になるんです。

StreamYard
StreamYard

集客の仕方に関しては、リアルイベントと共通する部分が多いと思います。まず、ユーザーはイベントのカバー画像とタイトルを見て考えるので、カバー画像とタイトルには力を入れたほうがいいでしょう。カバー画像は登壇する人の画像を入れると効果的です。カバー画像がないとアイキャッチが弱く、どんなにいいイベントでも詳細を読んでもらえなくなってしまいます。

イベントタイトルでは「何をやるか」が明確なことが大事。例えば「Peatixカンファレンス3.0」とかだと弱いんですよね。「オンラインイベントのノウハウのすべてが分かる」など、得られるものがなにかを最初に出すようにします。無料の場合は、頭に「オンライン無料」などと書くのも効果的。企業名やサービス名を表に出しがちですが、それが効果的なのは大手の場合だけですね。

いいカバー画像とイベントタイトルの例
いいカバー画像とタイトルの例

それと、最近になって出てきている相談は、どうマネタイズするか? 3月から有料のイベントが減って、オンラインイベントは無料でやるケースが多かったのですが、この状況がいつまで続くか分からない中、マネタイズも考えないといけなくなってきました。金額設定やどういう内容であれば有料にできるかなど、相談内容が変わってきているような気がします。

実際、4月以降は有料イベントが一気に増えています。しっかりとした内容を提供できれば、オンラインイベントであってもお金を払ってもらえるということが浸透してきたのかもしれません。その際にポイントとなるのは「オンラインならでは感」があること。コメント機能を活用するなどして、参加者とのインタラクティブなコミュニケーションが設計されていると参加者の満足度は上がるでしょう。

オンラインイベントは「双方向性」「今じゃなきゃ」を大切に

オンラインイベントの競合は今、YouTubeのコンテンツになのではないかと考えています。アーカイブの動画やYouTubeなど、いつでも見られるものとの時間の奪い合いになっている。ですから、オンラインイベントではインタラクティブであったりだとか、参加している人にとって「今じゃなきゃダメだ」という「生配信ならでは感」を提供しないと、アーカイブでいいやとなってしまう。

オンラインイベントは家でなにかをしながら参加している人も多いと思います。ですので、「1対n」だと集中力が続かなくなって他の場所へ行ってしまう。テレビと同じような一方的な動画配信のやり方では視聴者を引きつけるのは難しいのかな、と。

視聴サービスのチャット・コメント機能を使って、ファシリテーターが参加者からのコメントを拾い、イベントの中に引き込んでいくと、離脱を防ぎやすくなります。これまでのリアルイベントでは最後の15分間が質疑応答だったけれど、オンラインでは途中で質問が書き込まれるので、その都度登壇者に投げかけると参加者も登壇者も理解が深まる。「自分ゴト」として感じてもらう工夫が大事かなと思います。

参加者は気になる点についてすぐにリアクションできるし、それは登壇者にとっても視聴者の反応がすぐ見えるということでもある。特に日本のリアルイベントだと、オーディエンスがすごく静かに聞いてくださるので、果たして刺さっているのかどうか、登壇者は不安になるんですよね。だからオンラインのほうがやりやすいという人もいます。

手を挙げるのも、リアルイベントだとハードルが高いけど、オンラインのチャットだと積極的にコメントする傾向にあります。僕自身がファシリテーションする際は、「今どこから聞いていますか?」と最初に尋ねてコメントしてもらうようにしています。一回書き込むと、書き込むことへのハードルが下がるみたいです。「登壇者に向かって拍手=8888と書き込んでください」とか。そうした工夫でオンラインイベントの面白さは作れます。

1000人が参加するようなイベントでも双方向性は作れます。もちろん1000人が書き込むと個々の質問が埋もれることもありますが、以前よりは絡んでいる感が出るでしょう。リアルイベントでこの双方向性を作るのは、まず難しいですよね。

上級者向けには、オンとオフの雰囲気を織り交ぜた「ハイブリットな企画」もあります。一番真似しやすいところでは、「オンライン懇親会」です。「Remo」や「Airmeet」といったサービスを活用して、本編では登壇者の話を聞き、それが終わったら画面を切り替えて懇親会を始める、ということもできます。

面白いところでは、少し技術的な理解は必要になりますが、「Cluster」というバーチャル空間を作れるサービスがあり、登壇者も参加者もアバターとして参加するというもの。各々好きなアバターで参加して、拍手したり、ハートを送ったり。準備が大変なのでハードルは高いですが、「絵力」で話題にもなりやすいです。

Cluster
Cluster

他にも、先ほどのZoomの「ブレイクアウト」機能を使って、分科会形式でフリートークをしてもらうことも双方向性を作る一つの手です。それがワークショップなら、人手の問題はありますが、分割した各チームに「仕切る人」を配置するとうまくいきやすく、参加者の満足度も高まります。さらに、よくポストイットを使ってワークショップを行うケースもありますが、「Miro」というサービスを使えば、画面上でポストイットを共有しながら作業をすることもできます。

つまり、双方向性を作るカギは「コール&レスポンス」です。参加者になにか問いかけて一気にコメントを集めるだとか、Clusterならアバターがジャンプする機能を使って「みんなで一斉にジャンプしてみましょう」みたいなことをやってみる。奇をてらわなくても、そういう工夫だけでも結構場は盛り上がります。参加者も巻き込まれている感覚になりますね。

受け手にも発信者にも、今はチャンスの時期

新型コロナウイルスが収束して、ある程度人が集まれるようになったとしても、以前のようには戻らないだろうと考えています。

これまではリアルイベントだけでやっていた人たちも、オンラインで配信を始めたり、リアルイベントとオンラインイベントを組み合わせた「ハイブリッド型」が増えていくんじゃないかと思います。今までもハイブリッド型はありましたが、なんとなくリアルがメインで、オンライン視聴は「おまけ」的に見られていました。それが、今後は対等に求められるようになってくるのではないでしょうか。

登壇者にしても、これまではリアルの場にいることに価値があり、カンファレンスでオンライン登壇だと微妙な空気がありましたが、みんながこの状況に慣れてきているため、オンライン登壇も受け入れられる状況にまではきています。だからこそ、リアルで集まる意義ってなんだろうと考え出すようにもなります。

オンラインだと移動しなくてもいいし、さまざまなイベントに参加しやすい。それでもなぜ、リアルがいいのか? やはり人との出会いとか、集まることの意味を追求してそれを提供していかないと、「じゃあオンラインでいい」となってしまいます。リアルとオンラインの価値を別のものとして捉えて、それぞれの良さを追求していくことが大事だと思います。

リアルイベント主催者の集合写真

日本は特に、これまで実際に会うことを重視していましたが、これからは「オンラインで20分でお話ししてみて、さらに話が進むなら実際に会いましょう」という仕事の仕方が当たり前になっていくのではないかと思います。そうして働き方も変わっていくのではないでしょうか?

コロナ危機であらゆるイベントがオンライン化された今、環境は整ってきました。受け手側はアンテナを張っていれば、気づきや学びが得られやすい時代になっていくと思います。

発信に関しても、イベントを企画するハードルが下がっています。リアルイベントを開催するとしたら、会場や登壇者の拘束時間などいろんなコストがかかっていましたが、場所も要らず、登壇者にも「この1時間だけ顔を出してください」とお願いするだけで、イベントの運営自体は飛躍的にやりやすくなっています。集客という点でもリアルよりやりやすい。今はチャンスの時期、あとは自分が動くか動かないか、だと思います

今はインターネットが盛り上がり始めたころと似ていて、まだ失敗もあります。例えば、ネットが落ちてファシリテーターが突然画面から消えたり、でも戻ってくると視聴者から拍手が起きたりする(笑)。リアルイベントは成熟しているから失敗するとクレームにつながるんですが、オンラインは失敗があってもみんな優しいんです。チャレンジしているのを視聴者が応援してくれる感じ。だから、この時期にチャレンジして、経験を積んでおくといいと思います。

なにから始めたらいいか分からない人は、まずは人のイベントに参加してみるのがいいでしょう。主催者の目線で積極的に参加してみると、学びの発見があり、運営のイメージが湧きます。

はじめは個人の思い、一人語り的なコンテンツでもいいかなと思います。仕事に絡めるなら、コミュニティを作ってみるとか。例えば、製薬業界のマーケターだけを集めるなど。イベントで自社の仲間や他社のマーケターと対談すると、どんどん横のネットワークが広がっていきます。そうなれば、転職の可能性も広がるし、これからの時代、複業するのが当たり前になったとき、自分の得意ジャンルのコミュニティを持っているのは強みになるはずです。 

今は個人が「放送局」を持てる時代になりました。だれでもテキストを発信できるようになったのがソーシャルメディアの時代、一芸に秀でた人が発信するようになったのがYouTuberの時代でしたが、オンラインイベントをみんながやるようになって、今は個人がテレビ的なコンテンツを発信できる時代です。これからはだれもが「自分の放送局」や「番組」を持つのが当たり前になっていくと思いますよ。

藤田さんの共著ファンを育み事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』(ダイヤモンド社)

Peatix Japan株式会社 共同創業者・取締役CMO 藤田祐司
應義塾大学卒業後、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)で営業を担当した後、2003年アマゾンジャパン株式会社(現アマゾンジャパン合同会社)に入社。最年少マネージャー(当時)として、マーケットプレイス事業の営業統括を経て、Peatixの前身となるOrinoco株式会社を創業。国内コミュニティマネージャーチームを統括したのち、営業、マーケティング統 括を兼務。2019年6月CMO(最高マーケティング責任者)に就任し、グローバルを含むPeatix全体のコミュニティマネジメント・ビジネスデベロップメント・マーケティングを統括。日経COMEMOキーオピニオンリーダー。LinkedIn認定インフルエンサー。共著に『ファンを育み事業を成長させる「コミュニティ」づくりの教科書』(ダイヤモンド社)

[取材] 大矢幸世 [構成] 山本直子 [企画・編集] 岡徳之
2020/07/20

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