次なるジョブズ、ツイッターのジャック・ドーシーはなぜ失敗しない?

2015/08/31
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ジョブズと同じキャリアパスを歩み始めたドーシー

「次なるスティーブ・ジョブズ」と呼ばれる起業家、それがソーシャルネットワークサービス大手ツイッターの共同創業者、ジャック・ドーシー氏です。革新的な力を秘めた、しかしシンプルなアイデアで、一瞬で世界の景色を変えてきた実績からそう呼ばれています。

2015年6月、自身の後任を務めていたツイッターCEOの退任を受け、暫定ではあるものの同社CEOに復帰したことが話題になりました。

自身で創業したアップルを離れ、その後12年ぶりにCEOに復帰し、同社を復活させたジョブズ氏のキャリアパスと重なるところがあります。

ドーシー氏の実績はツイッターだけではありません。同氏がCEOを務め、日本にも上陸済みの「スクエア」は、iPhoneのイヤホンジャックに挿すだけでモバイル決済を可能にする端末。アメリカではすでに浸透しつつあり、世界の「買い物」を変えようとしています。

すでに世界中で利用されているツイッターと、シリコンバレーでいま最もホットなスタートアップの一つに挙げられるスクエア。ドーシー氏が具現化するアイデアは、なぜ次々と「成功」しているのでしょうか。その秘密は、彼の「失敗」の捉え方にありました。

ジャック・ドーシー氏
ジャック・ドーシー氏

実行に移したアイデアは、いつかもう一度浮かび上がってくる

ドーシー氏は「失敗」したことがないーー。これは決して言いすぎではありません。なぜなら彼は、なにかうまくいかなかった挑戦を「失敗」と片付けて、それで終わらせず「引き出しにしまう」からです。本人もある講演でこう語っています。

実行に移したアイデアは、たとえそのとき上手くいかなくても、たいていいつか、もう一度浮かび上がってくるもの(イベント「99U」で行った同氏の講演内容より引用)

「ツイッターやスクエアが結果的に成功したから、そう言えるのだろう」と思うかもしれません。たしかにそうかもしれませんが、ドーシー氏はツイッター創業以前、それこそ学生時代から、このプロセスを続けてきました。

幼少期の頃から地図が大好きだったドーシー氏は、プログラミングと出会い、パソコンのスクリーンに映しだされた地図上で「点」を自在に動かすプログラムを開発しました。そして、彼はこのプログラムのよい使いみちを探し始めました。

当時はこのプログラムに何の意味も見いだせませんでした。しかしその後、彼が都市の交通システムに興味を持ち、救急車などクルマの移動をコンピュータ上で可視化したいと考えたときに「点」のプログラムを開発したことを思い出し、それを活用して実現しました。

アイデアの連鎖はやがてツイッターにつながります。ドーシー氏は、交通システムを可視化するうち、人々や気持ちのやりとりを可視化するというアイデアを着想。昔、点のプログラミングの開発を「失敗」で終わらせなかったからこそ、今のツイッターがあるのです。

そして、この連鎖は現在のスクエアにも派生。彼にとっては、ツイッターでのつぶやきも、世の中のお金の流れも、すべてはコミュニケーションという観点で共通しているのだそう。彼の中で、アイデアを引き出しに出し入れする作業は、これからも続いていくでしょう。

ジャック・ドーシーはなぜ「失敗しない」?

すべての挑戦は、その後の人生の「ネタ」になる

実行に移したアイデアは、いつかもう一度浮かび上がってくるーー。しかし「そのとき」がいつ訪れるかは誰にも分かりません。ドーシー氏の先見の明を持ってしても、そのときを予測するのは難しいようです。

彼自身、ツイッターが成功したのには、二つの運が欠かせなかったと言います。一つは、ソーシャルメディア以前にコミュニケーションするための手段として主流だった「SMS市場」の拡大の波に乗れたこと。そしてもう一つは、共同創業者との出会いでした。

一方でドーシー氏は、いま実行に移しているアイデアの行方を見極め、それを一度引き出しにしまうタイミングに厳しく目を光らせています。ビジネスとしての採算性や人的環境などを踏まえ、いくつもあるアイデアの中から選択と集中をしているのだと言います。

引き際の大切さは、他の事業家も認めています。ソフトバンクの孫正義社長もその一人。過去には、

退却をやれた男だけが初めてリーダーとしての資質がある(退却できない奴はケチだと思え -ソフトバンク社長 孫 正義氏 | プレジデントオンライン より引用)

とも発言。なかなか開花しない取り組みを意地で続けず、取り返しのつくうちに中断することが肝心なのです。

うまくいかない挑戦の引き際を見極めつつも、それを「失敗」と片付けず、そのアイデアを一度引き出しにしまい、もう一度浮かび上がってくるときを待つ。「すべての挑戦はその後の人生のネタになる」という精神が、彼を成功に導いているのです。

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[文] 赤江龍介

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